どうなる?東京オリンピック

新型コロナウイルスの感染拡大により悲観論が出始めている東京オリンピックの中止、そして2032年開催プランが水面下で検討されているという情報を21日にイギリスのタイムズ紙が報じました。

その前にも1週間前にアメリカのニューヨークタイムズ紙が東京オリンピックの開催の見通しは暗くなって来たと報じていてオリンピック開催を危ぶむ声が出はじめています。

もちろん日本政府は認めておらず、坂井学官房副長官も閣議後の記者会見で否定。橋本聖子オリンピック担当大臣も会見で今夏の開催に向けて全力を尽くす旨を強調。日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長も東京オリンピックの中止報道を、「間違っておりコメントするのもばかげている」ときっぱりと否定。国際オリンピック委員会のバッハ会長も「7月に開幕しないと信じる理由は現段階でなにもない。プランBもない」と否定しています。

ただ情報を出してきたのがイギリスのタイムズ紙。Wikipediaによると

タイムズは、英国で1785年に創刊した世界最古の日刊新聞である。発行部数は2011年4月に44万9,809部、2020年3月に36万5880部である。また、日本の読売新聞と朝日新聞と提携している。 ニューヨーク・タイムズなどの新聞との区別のためにロンドン・タイムズ、タイムズ・オブ・ロンドンと呼ばれることもある。

Wikipedia

そうなんですよね、歴史も実績もある新聞なんです。そこらへんのゴシップ紙とは少し格が違います。適当なソースで報道したりはしないとは思うんですよね。

そんなイギリスの状況はというと、新型コロナウイルスの変異種が猛威を奮っていて一部報道では変異種の致死率が今までのと比べて高い可能性も示唆されてきている。ブルームバーグによると

新型コロナウイルスの感染拡大予防対策として英国が実施している3度目のロックダウン(都市封鎖)は長引く様相だ。政府は制限緩和を考え始めるのは時期尚早だとして警戒感を示している。

  英国では大規模な新型コロナワクチン接種計画が進行中で、これまで約500万人が接種したが、ジョンソン英首相とパテル内相は従来から繰り返してきた4月までには通常に戻れるとの見通しを示すことをやめた。

  今も制限ルールを無視する人が続出し、感染拡大を封じ込めることが一層困難になっているとの懸念から、政府は現在の制限措置の順守を強化する方針に転換した。

ブルームバーグ

しかもこのロックダウンは夏まで延長の可能性も。

イギリスにとってみればこんな状況でどうやってオリンピックなんてやれるんだろうってところなのかもしれませんね。

また、世界保健機関(WHO)は今回の件で

WHOは22日、東京オリンピックについて、「IOC(国際オリンピック委員会)や日本政府に助言をしているものの、WHOが決断することではない」としたうえで、WHO・ライアン氏は「われわれは、科学的根拠やリスクに基づいて決断する必要に迫られてきた。IOCと日本政府もいま、そうしたことを精査しているところだろう」と述べた。

また、「東京で緊急事態宣言が出ている中で、大会のことを考えるのは難しい。人々の懸念も理解できる」と指摘したうえで、「日本政府は難しい立場にあるが、適切な決断を行うだろう」と述べた。

FNNプライムオンライン

WHOとしては東京オリンピックの開催の是非については言及しない姿勢のようですね。あくまでIOCと日本政府の判断に任せるということでしょうか。

日本政府や都としては巨額な投資をしているわけですし、是が非でも開催にこぎつけたいでしょう。もちろん多くの国民は開催を期待しているんだと思います。ただし今回の緊急事態宣言でギャップも生まれていると思う。

率直に言えるのはこんな状態で本当に開催できるのか?多くの方の疑問だと思います。もちろん何らかの形での開催はギリギリできるんじゃないでしょうか。無観客でとかの話も出始めているみたいですし。

でも正直、本当にそれでいいんでしょうか?

オリンピックは他の世界大会とはやっぱり一線を画していると思います。もちろん最近のオリンピックは商業オリンピック色が強くてアマチュアだけでなくプロも引き込んできたり、開会式、閉会式のショーアップなどでだいぶ様変わりしてきました。

でもなぜ、トップ選手たちはオリンピックにこだわるんでしょう?やはり歴史に裏付けられた栄誉がオリンピアンにはあるんだろ思います。

そんな選手が満足にトレーニングもできない、下手したら予選すら開催できずに過去の成績で選考せざるを得ない場合もあるのかな。そんな不十分な状態で最高のパフォーマンスを発揮できるでしょうか?そんな状態での選考はフェアでしょうか?

昨年末のスポーツ報知にこんな記事がありました

コロナ禍でも来夏の五輪開催準備が進む中、組織委内から慎重な意見が出てきた。ある理事は「このままでは五輪の最も大事なフェアプレーの精神を無視する形になってしまう」と指摘。コロナ禍で選手が練習できる国と、全くできない国の差が開いていることを危惧した。「選手がいくら努力しようとしても何もできない国もある。練習環境格差が生じてしまう。アンフェアーだ」と問題提起した。

 国際オリンピック委員会(IOC)によると、まだ五輪出場枠の43%が固まっていない。レスリング、ボクシング、体操、ハンドボールなど来春以降に五輪予選会が予定されているが、コロナが収束するかは不透明で、開催できるかも見通せない。別の理事も、3度の延期の末、中止が決まった来年2月の卓球世界選手権団体戦(韓国・釜山)を例に挙げ、「各競技の予選会も簡単にはできそうにないし、代表に決まっていても実戦を重ねられない状況だと、五輪でベストパフォーマンスは見せられない」と心配する。

スポーツ報知

本当にこのまま無観客での強行開催ともなれば、アンフェアな大会として歴史に残る大会になってしまうかもしれない。

そして、無観客もかなり問題だと思います。やはり、あのオリンピックの大歓声、これはとてつもない栄誉だと思うし、このほかでは味わえない空気が歴代のオリンピアンたちの高パフォーマンスにつながっていると思います。それがないとなるとそんなの政治の都合によるただの消化試合的なオリンピックと言われてしまうかもしれない。

記憶違いかもしれないけど、選手ファーストだったんじゃないかな?それが今ではどこかに行ってしまってはしませんか?

今となってはですが、本当になぜ、少なくとも秋開催で交渉しなかったのか?それとも出来なかったのか?もし本当に無観客開催、もしくは中止ともなれば、日本の政治力、国際競争力にも大きな影を落とすことになるかもしれません。

東京オリンピックが負の遺産とならないためにも、選手ファーストな開催。これをぜひともお願いしたいところです。そして今大会が現在の商業オリンピックの転換点になればと思います。